名前考察1ヶ月ほど前、あたしは留学生として何か日本ではできないことがしたい!と思い立ち、「全員呼び捨て」を実行する事にしました。アメリカなので当たり前だろうと思う人もいるかも知れませんが、サンフランシスコには日本人がけっこう多い。年上であまり親しくない人を下の名前(しかも4文字の人は大抵「ヒロ」とか「トシ」とかに縮めたりする)で呼ぶのは「エイヤッ」という気持ちがないとできません。でも外国人だけ呼び捨てっつーのも悪いし、外国人と話題にのぼる時だけ呼び捨てっつーのも変だし。 あたしの今のことは置いといて、その人を何て呼ぶか、何て呼ばれるかは大きな問題です。その人との実際の見えないはずの距離が(たまに)見えてしまいます。例えば、あたしが「ミカ」と呼び捨てにしているのに、その人があたしを「永井さん」と呼んでいると、なんか片思いみたいというか、「まるであたしがいじめてるみたいじゃなーい!!」と、可愛くない。逆に、高校時代、合唱コンクールのドサクサに紛れてめちゃくちゃヘコい奴に「ナガイー」と呼ばれた時は「あン?」て気持ちになりました。いや、実際言ったかも知れない。血気盛んな年頃だったんで。 それは特例としてあたしは基本的に老若男女問わず呼び捨てされたいと思っています(苗字でも名前でも可)。皆様はいかがでしょう。子どもの頃から「マサオさん、お夜食ですよ」なんてお母さまに言われていたマサオさんは初めての彼女に「マーくん」と言われたらちょっと焦るかもしれません。 ドームバイト時代、特に男子数名に見られたのが、「隠れ呼び捨て」です。本人には「渡辺さん」と呼んでいるのに本人がいないと「ミナがこないださ〜」なんて言うのです。決して嫌いとかじゃなくて。この人は「渡辺さんと同じレベルに自分がいる」というアピール、そして結構フランクな奴だと思われたいんだなあ・・・と逆にその人のフランクじゃなさが見えてしまいました。 呼び捨ての他に「あだ名」という呼び方もあります。あたしは「ちゃん付け」や「さん付け」がたまに淋しい時もありますが、いつも「変なあだ名つけられるよりいいや・・・」と思うのです。中学時代、青山さんは「アオさん」、横山さんは「ヨコさん」と呼ばれていました。思春期でとってもナイーブかつセンシティブだったあたしは「なんかゴリさんとかヤマさんみたいで可哀想。よかった、そーゆう苗字じゃなくって。」と思ったものです。また、ある男性は高校時代に教室で発狂した事から『グリズリー土田』というあだ名がついてしまったそうです。今『グリズリー』を知っている若人はあまりいないと思うので(あたしも殆ど知らない)注意書き:当時、暴れ狂う人食いグマの恐怖映画『グリズリー』というのが流行ってたそうで。あだ名というのはその時代をも反映する事がたまにあるので、10年経つと口にできなったりもするんですね。 呼び捨てにしてもあだ名にしても、「○○さん」からその呼び方に挑戦する瞬間にはテレが伴い、それを吹き飛ばす勇気が必要です。あたしはそれがとっても苦手でした。だから「全員呼び捨て」計画以前から「さん付け」の人はやっぱ「さん付け」。もう「さん」が名前の一部になってしまっているのです。このタイミングってなかなか難しいですよね。例えば、「宮本くん」と呼んでいた人が彼氏になって、3回目のデートでそれを「けんちゃん」にスイッチ。そして結婚初夜から「あなた。」となる。なーんてスンナリはいきません。あたしの友だちは結婚してもう3年くらい経つけどまだ「篠塚くんがさ〜」って言ってるから、きっとこの友だちもあたしと同じテレ屋さん。つき合いたての恋人を今まで通 り呼ぼうか、それとも呼び捨てに挑戦しようとして考え過ぎて結局「・・・・ねえ」と言ってしまう人、きっといることでしょう。 新学期。毎年恒例の自己紹介。特にあたしは中・高一貫教育の学校に通 っていたので、今さら知らない人もそんなにいない。いつも冴えない地味目な森さんが「ミッキーって呼んでね。」となぞなぞのようなあだ名を自分で提案して、ちょっとした話題にはなりましたが、結局卒業式まで森さんをミッキーと呼ぶ人は現れませんでした。「こう呼んで欲しい」というのを自分から言うと、なかなか定着しません。だからみんな「アミーゴって呼ばれてました(だから皆もそう呼べ)」とか名前自体を「Chara」にしちゃったりするしかないんですね。家族にまで「ちゃん付け」「さん付け」をする日本人(ex.おじいちゃん、おかあさん)、戸惑いがあって当然なのでしょうか。 初対面なのに目黒駅でいきなりゲロを吐いたために次の日から『ゲロ』というあだ名がついてしまった旧姓・山口さんのように、きっかけがあって、あだ名とはついてしまうもので、「こう呼んで」といのは間違っていると思います。こういうきっかけがあると簡単なのですが、「ヨシ、今日からこう呼ぶぞ」というプレッシャーに耐えきれずにその後うんと仲よくても「さん」付けや「ちゃん」付けが続いてしまう事がままありました。でも今は気楽なもんです。名乗られた通 りに呼べばいいから。慣れてしまえば簡単、簡単。(日本では今まで通りッスから、「なんでオレが永井に呼び捨てされなきゃなんねえんだよ」ってことはないスから、安心して下さい。)そう言えば母が海外旅行先の現地日本人ツアコンはみんな名前で自己紹介するのがキモチ悪いと言っていました。あたしも卒業旅行の時いきなり「ど〜も〜、ツルコです」と言われた時のインパクトは忘れられません。しかしこっちに実際住んでると、やっぱ「永井です」ていうより「ユキです」になってしまうのね。 昔どこかで「苗字で呼ばれる子より名前で呼ばれる子の方がフェロモン度が高い」というような事を読んだことがありますが、あたしの場合、女からは「ユキ」、男からは「永井」と呼ばれることが多いです。それを読んだ時は「あたしってきっと男の前だと普段出てるフェロモンが出し切れてないからいまいち一歩先に進めないのかしら?」と思いましたが、ここは全員があたしを「ユキ」と呼ぶ国アメリカ。あたしもフェロモン出血大サービスなんです、きっと(「それは、ナイ」(男友だち・代表))。こうも色気ムンムンだと、男子に「永井」と呼ばれるのが恋しくなってきたこの頃です。 (99/10/27) |
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