家出のすすめあたしはその昔、「家も学校も大ッキライ!」な典型の少女でした。でも、家出はしたことありません。正確には数回試みたのですが、親があたしの家出に気付く前に帰宅してしまっていました。その代わりと言ってはナンですが、うちにはやたらと家出少女が来ました。 最初のY家出少女は、家出とは言えないかもしれないけど親に「合宿に行ってくる」と言い残して数週間うちに居たことから、うちは「S(うちのマンション名)合宿所」と呼ばれるようになりました。以前たけちゃんの書き込みにもあったように、あたしの部屋は玄関を通 らないで出入りができたために家出少女達には好都合だったのでしょう。 あたしは小さい頃、「居候」に憧れていました。あたしの頭はキャディ。キャンディと藤子不二雄(F)だけで出来上がっていたので、孤児院と居候は楽しいものだと思っていました。ドラえもんやオバQやハットリくんであれだけ楽しいんだったら、未来の世界のネコ型ロボットでもオバケでも忍者でもない友だちが居候してくれた日にはもう毎日笑いの渦だと信じてたんですね。(ちなみに、怪物くんはお屋敷があって、コロ助はキテレツが作ったから居候とは認めず。)でも、現実はそんなに甘いもんじゃないって見せつけられた本当の居候たち。 二人めのM家出少女は、唇をオバQより腫らせて、片目は青タンで、血を流しながらうちに来ました。親に殴られたとか言ってこれまた数週間うちに居ました。この頃から、独りの気ままさってもんがわかって、内心どーでもいいと思いつつ「コンビニ行くけど」「御飯食べるけど」「お風呂入るけど」といちいちその子は「どーする?」って聞かなきゃいけないのが苦痛になってきて、その気づかい&めんどくさそうなのがその子に伝わって、暫く他の友だちの家を転々としてから彼女は家に帰りました。 そして、P家出少女はうちのそばでバイトも見つけて、居候というより住み込んでしまったのです。その子が恐ろしかったのは、どっちが家主かわからなくなってきて、支配されはじめたのでした。ある日学校をさぼってワイドショーかなんかを見てたら窓から入ってきた朝帰りのPちゃんは「ユキ!なんなの!部屋汚い!キー!!」とキレ出して、あたしはPちゃん監督の元に、部屋の掃除をさせられたのでした。散らばった服とかを拾いながら「もう合宿所は閉めよう・・」と思ったのでした。 あたしは家出こそしなかったけど、家出少女達との合宿生活で、自分も家出気分を味わっていました。でも、中・高校生のあたし達は結局敗北して家に帰るしかないんだなあ、という事にもなんとなく気付いたのでした。 それから数年後。某ファミレスでウェイトレスだった時。可愛がっていた高校生バイトの子が「永井さん泊めて下さい」
泣きながら大きな荷物を抱えてやってきました。その時のあたしはもう家を出たって家出じゃくて独立になってしまう年だったので、何の反発にもならず逆に「親のスネをかじらない有り難い子」になってしまいます。その時あったかい茶かなんかをその子に出しつつ、同じ合宿生活をするもの同士じゃなくて、すっかり「合宿所の賄いさん」になっていた自分がちょっぴり淋しかった。 (00/03/07) |
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